奏者インタビューシリーズ3 佐古季暢子

2023年3月25日ロームシアター 京都ノースホール 公演「エンカウンター」に先立ち、ロゼッタ主宰の橋爪が演奏家メンバーにインタビューを行いました。第三回は立ち上げ公演以来のメンバーで、マンドリン奏者の佐古季暢子さんにお話を伺いました。

橋爪:エンカウンター」では、公募による作品を中心に演奏を行いますが、今回、佐古さんは新曲に関しては委嘱作品のみ参加となります。今年のゲストコンポーザーであるKory Reederは、テキサス大学で博士号を取得した作曲家で、前回の公募で選ばれた作曲家でもあります。どんな印象をお持ちですか?

佐古: Koryの前回の作品“The Rose, 1964“が半即興的で、各楽器のシンプルな音色で共鳴し合う空間がとても心地良かったです。

橋爪:<The Rose>は移ろいながら音楽をその場で組み立てて行くような作品でしたが、今回の新作は、よりしっかりとした構造を持った作品ですが、奏者による自由選択が必要な部分も多く、奏者同士の共鳴が必要不可欠な要素となっていますね。

佐古:今回の新作「Rainsmell (While I’m elsewhere)」も一回一回の公演で響きが変わるのではないかと思うので、どんな音空間が広がるか楽しみです。

橋爪:ロゼッタの演奏活動はこれまで一般的なコンサートとはかなり違った形式で行ってきました。奏者目線で感じる魅力があれば教えてください。

佐古:一般的な演奏会は、お客様にいかに音楽に集中してもらうかという内向きのベクトルですが、ロゼッタは逆のベクトルのように感じています。 一般的な演奏会でも衣装や照明などの視覚的な部分も使われていますが、やはりそこは音楽の為の演出ではないかと思います。 ロゼッタの公演は主宰の橋爪さんや美術担当のメンバーのおかげで、その従来の「コンサート」から解放されようとしているというか…(うまく表現できず申し訳ないです) もちろん音楽も楽しんでもらうんだけども、聴覚、視覚以外にも触覚も使っていたり、バーチャルとの融合であったりと人の認知を活用して、空間と時間自体を楽しんでもらえる公演だと感じています。お客様がこの空間と時間に一歩足を踏み入れていただければ、全身で音を体験できますし、奏者としてはその瞬間瞬間で変わる空間を作り上げる一員になれる気持ちよさがあります。 また、お客様との距離が近いので、お客様の反応が間近で見られるのも楽しみの一つでもあります。

橋爪:制作の意図としては、決して音楽が一つの要素であると考えているわけではなく、音楽という概念を拡張する感覚でやっています。公募という手法を使って、そういったより広い定義で音楽を捉える活動が広まっていけばいいなぁとぼんやりと思っています。奏者のみんなにも楽しんで参加してもらえているようで、大変嬉しく思っています。
そんなロゼッタの活動はご自身の活動の中でどのような位置付けになっていますか?

佐古:新たな出会いの場、とでも言うのでしょうか…言葉にすると、かなり胡散臭い響きですね(苦笑)普段の活動でも定番楽器以外との共演や新曲委嘱などを意識していますが、ロゼッタでは、それこそロゼッタでしか出会うことのできない新しい作品やコラボレーションに刺激をもらっています。

橋爪:最後に、ロゼッタ エンカウンターに興味を持つみなさまに一言をお願いします。

佐古:音楽を楽しみたい方も、新たな音楽に出逢いたい方も、ロゼッタの会場に一歩足を踏み入れた瞬間から最後まで非日常を体験していただけると思います。ぜひ全身で感じる音体験をお楽しみください!

「エンカウンター」は世界各国の作曲家による新作を演奏する公演です。
3/25ロームシアター 京都ノースホールにぜひおこしください!

佐古季暢子(さこきょうこ)
https://www.sakokyoko.com/

広島生まれ。
2003年エリザベト音楽大学マンドリン専攻第1期生として入学。
2009年同大学院修了、渡独。
2011年度中村音楽奨学生に選出。
2013年Hochschule für Musik und Tanz Köln, standort Wuppertal 修士課程マンドリン・ソロ科修了。
これまで多くの演奏会・コンクールにて受賞。
2009年、師 川口氏とのマンドリン二重奏CD「旅立ちの歌」をリリース。
2012年にはマンドリンオリジナル作品のみの独奏コンサートを開催。
2014年11月には日本初演を含めたマンドリンオリジナル作品のみ、文学をテーマにした帰国リサイタルを開催(クラシックギター上垣内寿光)。
2016年には世界的なギタリストである佐藤紀雄氏と、マンドリンの新たな可能性を探る『新響地』と題した公演を行った。
2018年にはマンドリン独奏による『響界』にて、エレクトロニクスとの委嘱初演作品「Sign of the Times」(今井慎太郎)とマンドリン版初演となる「Piano Phase for two pianos」(Steve Reich)を演奏する。

​日本をはじめドイツ、フランス、韓国など世界各国で演奏活動を実施。アンサンブル・ノマドや現代音楽アンサンブルロゼッタなどに意欲的に参加し、現代音楽の初演・再演に取り組んでいる。
国内唯一のマンドリンの専門誌『奏でる!マンドリン』にて世界の新曲紹介記事を担当しており、演奏会なども含め特に国内での新曲紹介に努めている。
また、後進の指導にもあたっており、多数の子供のためのワークショップに講師として参加、ヒルデン市立音楽学校のマンドリン科講師を勤め、2013年4月よりエリザベト音楽大学マンドリン科非常勤講師に就任。
これまで川口雅行、Caterina Lichtenberg教授、Annika Hinsche、Jeannette Mozos del Campo、Silke Liskoの各氏に師事。